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[カンボジア最新法務事情 第37号]

 

今回は、カンボジア労働仲裁2016年079号 British American Tobacco (Cambodia) Ltd.事件を通じて、職場の変更・異動に関する適法性について解説したいと思います。

<労働者側の請求>

 労働者側は、A社に対し、プレイ・ヴィエン州で7年間就業していたB氏は、同意を得ることなくコンポンチャム州に異動になったという例を挙げ、労働者を異動させる際は労働者の事前の同意を得るよう求めました。

 これに対し、A社は、労働契約書には異動に関する条項の記載があるため、労働者側の請求は認められないと反論しました。

 

<仲裁判断内容>

 労働仲裁委員会は、「労働者側の請求を棄却する」との仲裁判断を下しました。

 

<理由・解説>

1.判断理由

(1) 労働仲裁委員会は、まず、本件労働契約書には確かに、同契約書上には異動に関する記載が存在するが、どの程度の異動(距離・地方等)まで許容したものか明らかない、又、この点に関する労働者の任意の同意があったか定かでないと指摘した上で、次に、異動によって労働者は、住居、家族の扶養等の様々な影響を受けうることを述べた上で、労働者を異動させることが使用者の権利と言えるためには、①給与の減額がないこと、②遠くの地方への異動でないこと、③シフトの変更がないこと、④職能に関する大きな変更がない等の条件を満たしている必要があると判示しました。

(2) 労働仲裁委員会はその上で、プレイ・ヴィエン州からコンポンチャム州への異動は②に反するため、使用者は当該労働者と合意に至るまで話し合わなければならないが、本件労働者側の請求内容である「使用者は労働者を異動させる前には、必ず、当該労働者の同意を得なければならない」という訳ではないと判示して、労働者側の請求を棄却しました。

2.解説

(1) 異動に関する基礎知識

 労働法2条2項は、「すべての企業は…使用者の監督及び命令の下、工場、作業場、職場等の定められた場所において…労働する労働者を雇用する複数の事業所を構成することができる」と規定し、使用者の異動に関する権利を認めています。

(2) 本仲裁判断の意義

 本仲裁判断から読み取れることは、まず、異動の可能性がある場合は、その旨を労働契約書に明示しておくことです。

 次に、一般的には、使用者が労働者に異動を命じる場合には当該労働者の事前の同意は必要ないこと、具体的には、上記①乃至④を含む、異動による労働者への影響が大きい場合には、当該労働者との事前の合意が必要であるということです。

 この点、本判断は、「どの程度の異動(距離・地方等)まで許容したものか明らかない、又、この点に関する労働者の任意の同意があったか定かでない」との指摘を前提としていることから、上記①乃至④の場合であっても、契約書上、異動の範囲の明示がありその上で当該労働者の任意の同意があったと言える場合には、事前の同意は不要であるものと考えられます(私見)。

村上 暢昭

 


Posted-Date: 2016年 11月 26日